亜鉛で元気

貧血がひどい

呼吸により肺に取り込まれた酸素は、赤血球中のヘモグロビン(Hb)と結合して全身に運ばれます。血液中のヘモグロビンが減少すると、酸素を全身に運搬する能力が低下し、動悸、息切れ、めまい、倦怠感などの症状が現れてきます。ヘモグロビン減少は貧血と総称される症状のひとつです。


血中ヘモグロビン量の世界基準値(血液検査値の診断目安)は、男性が13g/dL以下、女性が12g/dL以下を貧血としています。

WHO(世界保健機関)の定める国際的な貧血の判定基準

  • ●小児(5~11歳)……ヘモグロビン値11.5g/dL以下
  • ●成人男性 ………………13g/dL以下
  • ●成人女性(12歳〜) ………………12g/dL以下

World Health Organization: Iron deficiency anaemia: assessment, prevention and control:A guide for programme managers, p114, WHO/NHD/01.3, 2001 より引用

貧血の症状と原因

貧血で酸素不足になると、だるくなったり、疲れやすくなったり、持久力がなくなります。また、顔色が悪くなり、下まぶたの内側が白っぽくなることもあります。
しかし、軽度の貧血では具体的な自覚症状が現れないこともあり、貧血がゆっくり進行すると徐々に身体が酸素不足に慣れて、問題なく日常生活を送れる人もいます。健康診断や献血時に受けた血液検査で、初めて貧血を指摘される人もめずらしくありません。

    貧血による症状の例

  • ◆ めまい
  • ◆ 倦怠感(だるい)
  • ◆ 易(い)疲労感(疲れやすい)
  • ◆ 立ちくらみ
  • ◆ 冷え性
  • ◆ 顔色が悪い
  • ◆ 下まぶたの内側が白い
  • ◆ 頭痛
  • ◆ 吐き気
  • ◆ 息切れ
  • ◆ 手足のしびれ

*急に立ち上がったときや長時間立ち続けていることで生じる立ちくらみは、脳への血液量の減少が原因で起こる脳貧血(起立性低血圧)であり、貧血とは異なります。

赤血球やヘモグロビンが十分に作れない、あるいは赤血球が壊れたり、出血で失われたりすると貧血になります。病気が原因の場合もあれば、食事からの栄養素の供給(摂取量)と需要(消費量)のバランスが崩れることが原因であったりとさまざまで、一口に貧血といっても原因により名称も異なります。

    貧血の種類

  • ● 鉄欠乏性貧血
  • ● 銅欠乏性貧血
  • ● 亜鉛欠乏性貧血
  • ● 悪性貧血
  • ● 再生不良性貧血
  • ● 腎性貧血
  • ● 出血性貧血
  •            など

貧血には鉄が深くかかわっていることが知られていますが、亜鉛も赤血球の産生、機能維持などに関与しているといわれています。亜鉛は体内の臓器だけでなく、血液中にも含まれています。血液中の亜鉛は、約80%は赤血球、約20%は血清中、約3%が血小板と白血球に存在します。

鉄欠乏性貧血の患者さんでは、同時に亜鉛も不足している場合があります1,2)。鉄も亜鉛も体内で作ることはできず、食物からとらなければならない栄養素(ミネラル)です。
日本人の鉄と亜鉛の1日の平均摂取量をみると、女性は各年代にわたり国が定めた推奨量を下回っていることから3)、鉄欠乏性貧血と診断されている女性のなかには亜鉛欠乏性貧血がかなり含まれていると推測できます。

亜鉛に限らず、食事から栄養素(ミネラル)を十分に摂取できない高齢者、栄養素(ミネラル)がたくさん必要になる妊産婦・授乳婦は、亜鉛不足による貧血のリスクがあるので注意が必要です。また、亜鉛は便だけではなく、尿や汗からも排泄されるので、激しいスポーツで多量に発汗すると亜鉛不足による貧血のリスクが考えられます4)

1)Yokoi K, Alcock NW, Sandstead HH: Iron and zinc nutriture of premenopausal women: Associations of diet with serum ferritin and plasma zinc disappearance and of serum ferritin with plasma zinc and plasma zinc disappearance. J Lab Clin Med 124: 852-861, 1994
2)Yokoi K, Sandstead HH, Egger NG, et al: Association between zinc pool sizes and iron stores in premenopausal women without anaemia. Br J Nutr 98: 1214-1223, 2007
3)厚生労働省:平成27年 国民健康・栄養調査
4)西山宗六:血液疾患と亜鉛-特にスポーツ競技者の亜鉛欠乏性貧血について-.治療 87 別冊:27-31, 2005

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